切迫早産入院中のトラブル[不当請求された差額ベッド代編]支払う必要ありません!
こんにちは。
この頃世間では政治とカネの問題が騒がれていますが、医療とカネの問題も根深いものがありそうですよね。
これから出産を迎える病院であまり揉め事は起こしたくなかったのですが、これは見逃せない…大きな問題に発展してしまいました。
切迫早産に限らず長期入院の方、「その差額ベッド代、本当に払う必要ありますか?」というお話です。
私の場合、日額5,000円と言われていた差額ベッド代を支払う必要がないことに気付いてしまいました。
50日間の長期入院なので、25万円!も不当に請求されかけたことになります。
[差額ベッド代がかからない部屋はない!?]
私が入院しているのは、病床数が19床で登録されている個人の産科のクリニックです。
(これも登録がおかしかったことが後から判明しました、というのはまた後ほど。)
入院が決まったとき、「長期入院になるので差額ベッド代がかからない部屋がいい」と希望しました。
しかし…医師からは「差額ベッド代がかからない部屋はない」と説明されて、やむなく日額5,000円だという3人部屋に入院することに。
ここがまずおかしいポイントです。
差額ベッド代のかかる部屋のことを「特別療養環境室」といいますが、病院側が勝手に特別療養環境室に患者を入院させて差額ベッド代を取るなどという横暴は許されないように、厚生労働省が決まりを定めています。
ここでは、令和4年3月4日の通達に基づいてお話していきます。
厚生労働省「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について
特別療養環境室に入院させる時の注意
特別の療養環境の提供は、患者への十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意に基づいて行われる必要があり、患者の意に反して特別療養環境室に入院させられることのないようにしなければならないこと。
・こんな場合は支払い不要
患者自身が特別療養環境室への入院を希望した場合は当然、差額ベッド代を支払う必要があります。
逆に言えば、患者が希望した場合以外は差額ベッド代を徴収することができないということです。
例えば、差額ベッド代のかからない部屋が空いていないという病院側の都合であったり、感染症の恐れがあるなど治療上の都合である場合は差額ベッド代の支払い義務はありません。
医師から説明を受けた時、「差額ベッド代がかからない部屋はない」というのは病院側の都合であるように思えたのですが、「ない」の一点張りで入院のゴタゴタの時にそれ以上は深く突っ込めませんでした。
・疑念は更に
しかし、11月分の入院費の請求書を受け取った時に更に疑念が深まりました。
請求書に記載されていた金額は11月4日〜31日の27日間の入院で96,500円。
日額5,000円×27日間で135,000円のはずが、計算が合いません。
そこで会計に問い合わせてみると、「長期入院だと割引がある」とのこと。
ここもまたおかしいポイントです。
差額ベッド代は定められた金額で、病院が勝手に変えられるものではないはず。
そこで差額ベッド代について詳しく確かめてみることにしました。
・発覚したウソ
差額ベッド代を設定する時のきまり
療養環境の向上に対するニーズが高まりつつあることに対応して、患者の選択の機会を広げるために、(2)の要件を満たす病床について保険医療機関の病床の数の5割まで患者に妥当な範囲の負担を求めることを認めることとしたものであること。
※(2)の要件を満たす病床とは、1部屋あたり4人以下の病室であって、適切な広さや設備を満たすもの、とされています。
「特別な要件」を満たす場合は「5割」を超えることができるとされていますが、基本的には差額ベッド代のかかる病床は全病床の5割までしか設定できないということです。
「差額ベッド代のかからない部屋はない」という説明と矛盾しますよね。
入院しているクリニックが「特別な要件」を満たしているかどうかも念の為確認してみました。
厚生労働省の管轄の元で、医療など社会福祉に関わる業務を行なっているのが「厚生局」というところです。
地方によって管轄が違いますが、厚生労働省(地方厚生(支)局)から、医療機関の所在地の厚生局HPにアクセスできます。
私が入院しているクリニックは東京都にあるので、関東信越厚生局が管轄です。
調べ方が分からなかったので、お問い合わせフォームから質問を送ってみると、2週間弱で回答がもらえました。
結局、HPにちゃんと掲載されていたようで、関東信越厚生局(保険医療機関・保険薬局の施設基準の届出受理状況及び保険外併用療養費医療機関一覧)のページ下部の「保険外併用療養費医療機関一覧」から入院している医療機関の差額ベッド代に関する届出を確認できました。
すると、全19床のうち9床しか差額ベッド代の届出はありませんでした。5割を超えていませんね。
保険診療の場合、届け出ている徴収金額を超えて徴収することや、届け出ていない病床に対して差額ベッド代を徴収することはできないので、やはりおかしいわけです。
・交渉の結果…
…という旨を病院側に伝えてみたところ、無事に認められて入院費から差し引いてもらえました。めでたしめでたし。
では終わりたくなくて。私はたまたまこのことに気付いて病院側と交渉の末に支払わなくてよくなりましたが、これまでにもこれからもこの病院に入院する患者は不当に差額ベッド代を請求され続けてしまうでしょう。
そこで関東信越厚生局の方にも指導をお願いしてみているところです。
さあ、どう決着するでしょうか。
差額ベッド代に限らず医療費に関することは決まりも難しく、患者側と医療機関側で情報の格差がありますが、不当に請求されないために知識を持つことが大事だなと痛感した出来事でした。
簡単にまとめると、お金を払ってでも特別療養環境室に入りたいという希望がない限り、差額ベッド代は払う必要はない!ということです。不当に請求された時は、正しい知識と根拠を持って戦いましょう。
[もう1つのウソ]
この病院、差額ベッド代の件だけではなくて、もう1つ登録に不正があることに気付いてしまいました。
冒頭で「病床数が19床のクリニック」に入院しているとお話ししたのですが、これについてです。
病床数の登録が間違っていたんですよね(笑)
これには「病院」と「クリニック」の違いが関係してきます。
病院とクリニックの違い
病床数が20床以上あるかないかです。
20床以上あるのが「病院」、19床以下なのが「クリニック」とされています。
私が入院しているのは病床数が19床のクリニック…のはずでした。
確かに個室は19床あって、登録されています。
でも私が入院しているのは3人部屋で×4部屋=12床。
個室が19床+3人部屋が12床=31床で、これだと「クリニック」ではなくて「病院」として申請しないといけないはずですね。
でもどうやらこのクリニックは3人部屋を「観察室」と偽って、病床登録していないようなのです。
なぜこんな不正をしているかと、「クリニック」と「病院」では、配置しないといけない医療スタッフの人数が全然違うからだと思われます。
「クリニック」の方が規模が小さい分、少なくて済みます。
こちらの方も合わせて、関東厚生局の調査が入るかと思われます。