【FP監修】夫婦で介護休業を3ヶ月取ってみた[意外と使える制度]
こんにちは。
今回は私たち夫婦が介護休業を取得した時のお話です。「育児・介護休業法」というように、並べて扱われる介護休業ですが、取得率は育児休業よりも遥かに低く、介護をしている雇用者のうち、たった1.2%しか取得していないとのこと。(2017年)
介護をしている雇用者は約300万人もいるのに、です。
私たち夫婦も当事者になるまで詳しく知りませんでしたが、意外と気軽に使える便利な制度なので取得のハードルが下がればいいなと思います!
この記事はFPが監修しています
我が家のトマト🍅はFP2級を取得しています。
[介護休業とは]
細かいところは違いもありますが、ざっくり言うと「育児休業の介護バージョン」。
介護休業のポイント3つ
①労働者の当然の権利
②最大93日の休業
③給与の67%が保障される
介護が必要な家族がいる時、最大93日間(=およそ3ヶ月間)のお休みがもらえて、休業中は介護休業給付金が支給されるという制度です。(休業開始前の賃金の67%、ただし非課税なので目安手取りの8割程度にはなります)
※年5日間の休みが取れる介護休暇(無給)とは別の制度です。
・誰でも取れるの?
育児休業と同じく、過去2年間で雇用保険に1年以上加入している雇用者なら誰でも取れる「労働者の当然の権利」です。
我が家の場合、トマトは入社してちょうど1年経ったところ。
くるみは1年更新のアルバイトですが、週20時間勤務で雇用保険に1年以上加入しているので対象でした。
大事なことですが、これは「労働者の当然の権利」なので会社はこの申請を拒むことはできません。(取得しようとする日の2週間前までには届け出ましょう)
・どんな時に取れるの?
2週間以上介護が必要な家族がいる場合に取得できます。
「介護が必要」というと、要介護認定が必要なのか?とハードルが高そうに思えますが、必ずしもそうとは限りません。
要介護認定を受けている場合は「要介護2」以上であれば介護休業の対象ですが、認定を受けていなくても条件を満たせば「介護が必要」な状態と認められます。
条件は以下のチェックリストのうち、「2が2つ以上または3が1つ以上該当」すること。
出典:厚生労働省(常時介護を必要とする状態に関する判断基準)排泄や食事が自分でできないといったいわゆる介護状態でなくてもOK。
日常の意思決定に支援が必要、薬の服薬が管理できないといった状態でも、「2が2つ」該当すれば介護休業の対象になる訳ですね。
更に、介護休業を取得する時に会社が診断書の提出を義務付けてはいけないとされています。
実際、申請するときは会社書式のチェックリストに自己申告するだけでOKでした。
取得のポイント3つ
①要介護2以上
または
②チェックリストの条件を満たす
③診断書は不要
我が家の場合はトマト🍅母の介護目的で取得しようとしていたのですが、申請準備中に突然亡くなってしまい…
今度はトマト🍅父が常時見守りを必要とする状態になってしまったので申請することにしました。
こういう制度を紹介すると、「ただ休みたいだけじゃないか」とか言われそうですが…使える制度を使って無理せず休むことに 罪悪感など1ミリも持たなくてよいのではないでしょうか。
幼稚園・小学校の頃から皆勤賞こそが偉い、会社も休まずに行くことが偉いという価値観を刷り込まれすぎて、休むことに対する罪悪感が強すぎる。
そして周りからの非難も強いように思います。
介護と仕事を両立しようとして、自分自身も心身疲弊してしまったら元も子もないでしょう。
自分と家族の健康あっての仕事です。辛い時期は無理せず勇気を出して休んでみてもよいのではないでしょうか。
・休業の期間は?
介護対象者1人につき最大93日間です。
我が家では連続して93日間の休業を取得しましたが、合計93日間になるまで最大3回に分割して取得することもできます。
また、夫婦同時に取得するなど、1人の対象者に対して同時に複数人が介護休業を取得することも可能です。
・休業を取れる家族の範囲は?
今回、トマト🍅父の介護休業ということで、くるみ🐿️からすると義理の父に当たりますが、これでもOKという意外と幅の広い制度。
介護対象になる家族は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。同居している必要はありません。
出典:厚生労働省(介護休業について)[申請方法]
介護休業を取得しようとする2週間前までに会社に申し出る必要があります。
以下は介護休業申出書の様式例ですが、会社から社内様式の書類をもらえると思うので、記入して常時介護が必要なことを証明する書類(要介護認定またはチェックリスト)とともに提出します。
出典:厚生労働省(介護休業申出書)承認されると介護休業許可通知書が交付されました。
[給付金の申請]
給付金の申請は職場復帰後なので、振り込まれるのも復帰後になります。
ハローワークでの手続き自体は会社が行ってくれるので、復帰後にすべきことは必要書類を会社に提出するのみでした。
申請期限は「介護休業終了日の翌日から起算して2ヶ月を経過する日の属する月の末日まで」なので、期限を過ぎないよう案内がなければ自分から会社に問い合わせましょう。
分かりにくいですが、例えば7/18まで休業を取得したとすると、その翌日(7/19)から起算して2ヶ月を経過する日(9/19)の属する月の月末=9月の月末(9/30)が申請期限となります。
必要書類は以下の4点のみでした。
申請に必要な書類4点
①介護対象者のマイナンバーの写し
②介護対象者の本人確認書類(免許証など)の写し
③介護対象者との続柄の分かる書類(住民票の写しや戸籍謄本)
④銀行口座の写し
その他の必要書類は会社が用意してハローワークに提出してくれます。
我が家のケースでは休業の3ヶ月でトマト🍅父の状態も快復し、休業終了後に職場復帰することができました。復帰後すぐに給付金の申請に必要な書類も提出し、復帰後1ヶ月程度で職業安定局から給付金が振り込まれました。
[問題点]
我が家ではとても有効に使わせていただいた介護休業制度ですが、取得のハードルはなかなかに高いものだと感じました。
まず、制度の認知度が低すぎる。低すぎるがゆえに、そもそも取得しようと思い付かない。
我が家では、会社に行っているどころではない状況になって、初めは有給を使っていましたが有給では間に合わないぞ、となってようやく介護休業制度のことを思い出しました。
そして取得しようと思い立ってから会社がOKを出すまでに2週間近く…
会社でも前例がないためか、初めくるみ🐿️の会社では「アルバイトはそんな制度は使えない」、トマト🍅の会社では「(制度上提出が必要なものではないにも関わらず)診断書の提出がないと認められない」と難航。
かなり食い下がってこちらから制度を説明してようやく取得できた形でした。
初めに会社に断られた時点で取得を諦めてしまう人もいるでしょう…
認知度の低さゆえ、取得する側も制度をよく理解していないと取得に漕ぎ着けないのは問題です。
あとは期間の短さでしょうか。
我が家のケースでは3ヶ月で状況が好転したのでよかったですが、他の休業制度に比べて期間は限られています。
育児休業は1年(延長すれば最大2年)、傷病休暇は1年6ヶ月、一方の介護休業はたった3ヶ月。
がっつり介護に従事するための休業、というよりは復職に向けて介護ケアサービスを手配するなど、環境整備のための休業と思った方が良さそうです。
要介護認定を受けた場合、身体障害で介助が必要になった場合、精神疾患で見守りが必要になった場合…どれも長期的な問題ですよね。
こういったことはいつ誰に起こるか全く分かりません。
私たちも20代前半にして夫婦で介護休業を取るなんて夢にも思っていなかったことですが、こういった制度があると事前に調べていて今回は救われました。
ぜひ頭の片隅に入れておくと、いつの日かお役に立つかもしれませんね。